書籍『基礎ゼミ メディアスタディーズ』の「地域の記憶は誰のものか?」でDSTの取り組みについて執筆しました

石田佐恵子・岡井崇之編(2020)『基礎ゼミ メディアスタディーズ』世界思想社の第14章「地域の記憶は誰のものか?――地域創生、ステレオタイプ、デジタルストーリーテリング」(土屋祐子)を執筆しました。

「地域創生」の活動が盛んになる中、ステレオタイプな思考パターンに陥らないメディア表現実践の試みとして、広島城をテーマにゼミ生と取り組んだデジタルストーリーテリングについて紹介しています。

書籍の詳細 https://sekaishisosha.jp/book/b502613.html

ローカルメディア全国交流イベント「あだちメディフェス」で活動発表 「大学生が語り継ぐ広島~リレー型デジタルストーリーテリングの取り組み」

 広島経済大学メディアビジネス学部メディアビジネス学科土屋ゼミは、2019年11月23日、24日に開催されたローカルメディア全国交流イベント「あだちメディフェス」に出展し、「大学生が語り継ぐ広島~リレー型デジタルストーリーテリングの取り組み」の発表を行いました。

 土屋ゼミでは「広島の記憶を語り継ぐ」をテーマに「リレー型デジタルストーリーテリング」に取り組んでいます。平和記念公園や広島城などの歴史的な場所や、土砂災害の被災地などを訪れ、ボランティアガイドや関係者の方に話を聞いて、そこでの学生一人ひとりの気づきや思いを、数分の「自己語り動画」にまとめる試みです。

 今回のイベントではこれまでの作品や制作の様子を紹介すると共に、現在、広島県呉市の作品を制作している2年生2名が登壇し、フィールドワークの報告やどんな作品を作るのかを発表しました。また、足立区のインターネット放送局Cwaveの生放送にも出演しゼミの紹介をしました。

 2人は他のゼミ生たちと11月10日に呉市の歴史的な施設「大和ミュージアム」「入船山記念館」を訪れました。ガイドの方の話や当時の資料など自分が見聞きした経験に基づきストーリーを立ち上げようとがんばっています。

〇関連リンク

メディアビジネス学科の学生が、ローカルメディア全国交流イベント「あだちメディフェス」で活動発表を行いました。(広島経済大学ホームページでの紹介記事)

『「メディウムフレーム」からの表現 : 創造的なメディアリテラシーのために』刊行のお知らせ

 土屋祐子(2019)『「メディウムフレーム」からの表現 : 創造的なメディアリテラシーのために』広島経済大学出版会 が刊行されました。

 全国丸善・ジュンク堂書店で購入(取り寄せ)可能です。https://honto.jp/netstore/pd-store_0629730071.html
amazonの掲載はありません。

 問い合わせ先は広島経済大学出版会です。 http://www.hue.ac.jp/about/pb_about.html

 本書で筆者はまず創造的なメディアリテラシーとは何かを考え直し、それを伸ばすための概念「メディウムフレーム」と学びのモデル「クリエイティブ表現パス」を提案しています。後半では実際にゼミ生たちと取り組んできた実践の報告や学生の声、利用したワークシートを掲載。リレー型デジタルストーリーテリングについては第5章で詳しく取り上げられています。

『「メディウムフレーム」からの表現 : 創造的なメディアリテラシーのために』土屋祐子
目次:
はじめに

第1章 メディウムフレームと創造的なメディアリテラシー
1. 「メディウムフレーム」とは何か
2. 「創造的なメディアリテラシー」とは何か
3. 創造的なメディアリテラシーを伸ばすためのメディウムフレーム

第2章 オリジナリティを生み出すための3つのクリエイティブ表現パス
1.メディウムフレームとオリジナルな表現
2.「クリエイティブ表現パス」とは
3.3つのクリエイティブ表現パス

第3章 クリエイティブ表現パスI:気づく
1. 「メディウム記録」による再現性
2. ものの見方を可視化するメディウムフレーム
3. 写真実践のイメージ
4. 「写真で発見ワークショップ」
4-1.「写真で発見ワークショップ」とは
4-2. 実践プログラム
4-3. 実践作品
4-4. 取り組んだ学生の「声」
5. 写真実践の展開―地域の情報資源に

第4章 クリエイティブ表現パスII:表す
1. 多様でユニークな「メディウム制作」
2. 「フォトカルタ」づくり
2-1. 「フォトカルタ」の特性
2-2. 実践プログラム
2-3. 実践作品
2-4. 取り組んだ学生の「声」
3. 「音ハガキ」づくり
3-1. 「音ハガキ」の特性
3-2. 実践プログラム
3-3. 実践作品
3-4. 取り組んだ学生の「声」

第5章 クリエイティブ表現パスIII:語る・意味づける
1. 「ストーリー構成」とデジタルストーリーテリング
2. 「リレー型デジタルストーリーテリング」
2-1. 「リレー型デジタルストーリーテリング」の特性
2-2. 実践プログラム
2-3. 実践作品―土砂災害の語り継ぎ
2-4. 取り組んだ学生の「声」
3. リレー型自己語りの展開プログラム―表現と他者・地域理解の学びの交差
3-1. 地域におけるリレー型実践
3-2. 観光の眼差しからの地元語り
3-3. 音から呼び起こされる感性のストーリー
3-4. 対話と協働のデジタルストーリーテリング

おわりに―自分でメディウムフレームを描いていくために
あとがき
ワークシート例①~⑭
参考文献・資料
索引

研究報告のまとめ(2015~17年度・科研費基盤研究(C)15K00475)

「地域を語り継ぐ自己メディア表現とコミュニケーションについての研究」
-研究代表者:土屋 祐子(広島経済大学)、研究分担者:小川 明子(名古屋大学)、坂田 邦子(東北大学)、林田 真心子(福岡女学院大学)

1.研究成果報告書が科研費のサイトで公開されています。

研究成果報告書(PDF)

2.研究メンバーによる報告書です。

林田真心子「「音」から喚起される地域の物語」(福岡女学院大学人文学部)(PDF)

小川明子「戦争の記憶を継承するデジタル・ストーリーテリング実践」(名古屋大学大学院 情報学研究科)(PDF)

小川明子「実践報告 : 負の記憶を記録することの可能性と困難 ― 二つのデジタル・ストーリーテリングワークショップをめぐる覚書」(名古屋大学学術機関レポジトリへのリンク)

継承とメディア研究フォーラム 「語る・変わる・結びつく―記憶し継承する主体と共同体を育むメディアリテラシー」


 フォーラムは無事終了しました。たくさんの方に参加いただきありがとうございました。

<開催概要>

 災害や戦争の記憶、地域独自の文化の継承のために、アーカイブや語り部の取り組みが盛んである。しかし、いかに遺すのかという記録の研究や実践が進んでいる一方で、誰がどう引き継ぐのか遺される側の研究は十分とは言えない。時間の流れと共に人びとの価値観も変わり、当事者意識や関心は薄れるなど、引き継ぐことは容易ではない。本フォーラムでは、メディア実践を通じた継承の主体とその活動を継続していくような共同体の涵養について検討したい。
 第1部にご登壇いただく白水繁彦氏は、30年に渡りハワイの日系メディアのフィールドワークに取り組まれており、沖縄系移民のエスニックアイデンティティの創出と形成過程を参与観察されてきた。ご発表では、複数の世代において、周囲の意識変容に影響を与えてきた「トランスフォーマティブ・エージェント」とメディアの役割についてお話いただく。
 第2部では、語り継ぎのメディア表現ワークショップ「デジタルストーリーテリング」について報告する。まず、他者の語りから自己の語りを生み出していくリレー型の実践による他者理解や当事者意識の芽生えといった参加者の学びについて発表する。また、継承のための表現の広がりとしてサウンドスケープの試みや、戦争ミュージアムなど社会機関との連携についても報告する。
 最後に、討論者に明治学院大学の古川柳子氏をお迎えし、全登壇者と会場のみなさんを交えてディスカッションを行う。

日時:2017年12月17日(日)13:00-17:00
場所:明治学院大学白金キャンパス 本館1201教室(東京都港区白金台1-2-3)
http://www.meijigakuin.ac.jp/access/
http://www.meijigakuin.ac.jp/campus/shirokane/
(1201教室は本館2階に位置し、チャペル側の入り口から入ると同じフロアのすぐ近くにあります。)
FBのURL:
https://www.facebook.com/events/148578652538347/
フライヤー:
https://goo.gl/N9XKSW

主催:「地域を語り継ぐ自己メディア表現とコミュニケーション」研究グループ
共催:明治学院大学古川柳子研究室
問い合わせ:広島経済大学土屋祐子研究室 tsuchiya-lab@hue.ac.jp
※本研究会はJSPS科研費15K00475の助成を受けて開催します。

参加費:
無料

参加申込み:
以下のURLから登録してください。
https://goo.gl/forms/1qk314xePKQwfJi72

プログラム(登壇者敬称略):
総合司会・坂田邦子(東北大学)

12:40- 受付開始

13:00-13:10 ごあいさつ

13:10-14:25 第1部 講演
白水繁彦(駒澤大学)
「トランスフォーマティブ・エージェントの涵養とエスニックメディアの役割:ハワイのオキナワンコミュニティを例に」

14:25-14:35 休憩

14:35-15:50 第2部 デジタルストーリーテリング報告
土屋祐子(広島経済大学)
広島土砂災害を語り継ぐ、東北・女川ツアー
重野裕美(広島経済大学)、白田理人(琉球大学)
奄美大島・大島北高等学校の聞き書きサークルとの取り組み
林田真心子(福岡女学院大学)
音から喚起される地域の物語
小川明子(名古屋大学)
戦争ミュージアム、原爆小頭症の方との協働実践

15:50-16:00 休憩

16:00-17:00 第3部 ディスカッション
討論者・古川柳子(明治学院大学)、全登壇者